「誰に届けたいか」よりも「誰かに届けたい」を大切にしたい

f:id:coromonta:20160629090826j:plain

6月25日は濃厚な一日だった。

午後から縁あってディアステージ主催の「DEARSTAGE SHOWCASE」を見させてもらい、夜は夜で韻シスト主催のライブイベント「Neighbor Food」に1人で乗り込んだ。アイドルのステージを見るのは実質はじめてで、韻シストはかれこれ15年位見続けているただのファンである。

アイドルのステージは、一言で言うと最高だった。僕はアイドルについては素人なので多くを語れないけども、アイドルとオーディエンスの2つのエネルギーがぶつかり合い1つの作品として昇華するさまは、愛にあふれた美しいアート作品のようにも感じた。でんぱ組.incのステージはそれが顕著だった。

その膨大なエネルギーを抱えきれず、オープニングアクトのニァピン(妄想キャリブレーションの星野ニアとでんぱ組.incのピンキーこと藤咲彩音のユニット)のステージを見て思わず涙してしまった。ただただ僕の情緒が不安定すぎた。誰か一緒に秋葉原ディアステージに行きましょう。

韻シストは、いつステージを見てもアップデートがある。更新し続ける彼らのスタイルに、イチファンとして振り回されることもしばしばあったけど、最近は骨太のビートの上にすべてを包み込むような優しさが現れつつある。決して順風満帆ではなかっただろう18年のプロセスの上に彼らの今の音が、リリックが存在することを毎度ライブで感じさせてくれるのがいい。

スペシャルゲストとしてやってきたKenKenも最高だったし、TAKUのギター演奏中の恍惚とした表情を見る時間がわりと好きだ。あれはきっとイッてると思われる。関西出身の僕にとって、東京にいながらホームを感じさせられる素晴らしいショウケースだった。 

www.amazon.co.jp

今回はじめて拝見したアイドルも、昔からフォローしている韻シストも、どちらも苦労人。アンダーグラウンドの舞台で努力を重ねてきたアーティストだ。時にはニーズを汲み取りながら表現をしてみたり、失敗を繰り返して今のスタイルに到達していると思う。

そんなこんなで、僕の大殺界が通りすぎようとしている。苦しかった6月を締めくくるには素晴らしい週末だった。

しかし、こうした素晴らしい表現を五感すべてで受け止めると否が応でも刺激になるし、悔しい。でんぱ組.incにしろ韻シストにしろ、彼ら彼女らの中に届けたい想いや表現したいものがたしかにあって、その熱量が遠心力をもって伝播していく。深淵には、誰に届けたいか、ではなく、誰かに届いて欲しいというメッセージがある。だから琴線に触れてくるのだろう。

僕は仕事柄、動画コンテンツをつくったり、趣味で記事を書いたりしているが、わりと「これは誰に届けたいのか」ということを考えるのが癖になっている。ターゲットを立てて、コンセプトを設計して、切り口を考えて……。特に仕事の場合は、そこに市場がなければお金を生みにくいためそれが正しい考え方なんだと思ってきた。これも間違ってはいない。

でも、多分こうした仕事ばかりしていたら勝てないんだろうなとも思う。オンでもオフでも、「誰かに届けたい」と思えるヒト・モノ・コトに出会い、ちゃんと届けられるコンテンツを作れる、もしくはサポートできるような、そんな人になりたい。